むし歯治療について
静岡デンタルクリニックでは、はじめに患者さんのお口の中の状態を綿密に診査し、詳細にご説明した上で、1本の歯を治すのではなく、口腔内一単位(口腔内全体を一つとして考えること)とした全体治療を進めています。
インフォームドコンセントを重視して、十分なカウンセリングを行うことで、患者さんがご納得でき、無理のない最良の治療計画を提示させていただきます。
また、できるだけ「痛みの少ない治療」を心がけ、2段階麻酔を採用しています。
2段階麻酔では、麻酔前に表面麻酔で神経を麻痺させ、麻酔針が最初に刺さる痛みそのものを解消します。
他にも、「今から麻酔します」「少しチクッとしますよ」とお声掛けさせていただくことも、治療中の不安や痛みを減らすための取り組みのひとつです。
むし歯の進行について
むし歯とは、ミュータンス菌などのむし歯菌が作り出す「酸」によって歯が溶かされる感染症です。歯の表面では溶かされた部分を元に戻す「再石灰化」という現象も起こるため、そのバランスが保たれている間は、むし歯は進行しません。しかし磨き残しがあったりだらだら飲食をしたりしていると、再石灰化による修復よりも酸による脱灰の方が優位になり、むし歯が大きくなっていきます。
「脱灰」はむし歯を起こす力、「再石灰化」はむし歯を防ぐ力と言い換えられます。どちらが優位かは個人の体質や生活習慣によってことなります。
ある程度以上まで大きくなったむし歯は自然には治りません。そのため、むし歯菌に侵された部分を取り除いたり、溶けた部分を詰めたり、被せ物をして治療する必要があります。
ただし、プラスチックや金属の詰め物は、口の中に熱いもの(みそ汁など)や冷たいもの(アイスクリームなど)が入ってくるたびに歯よりも大きな変化の膨張と収縮を繰り返すので、やがて歯との間に隙間を生じてしまいます。そのため、そこにむし歯菌が入り込んで再発を起こすのです。実際、歯科治療で行われる詰め物の約70%が再治療だと言われています。削る治療を繰り返せば歯はどんどん小さくなり、やがて抜くしかなくなってしまいます。歯の寿命を長く保つには、削らなくてもいいようにお口の中の環境を維持することが重要なのです。
原因を除去しないまま金属などを詰めても、そこからむし歯が再発し、治療を繰り返していくうちにどんどん歯が小さくなり、最後には根っこだけになって抜歯に至ります。こうして歯の本数が減っていくと、いずれ入れ歯にせざるを得なくなります。
むし歯の進行状況(CO、C1、C2、C3、C4)と、治療法を以下に説明させていただきます。
CO エナメル質内のむし歯
歯の表面のエナメル質が脱灰して白くなっている状態です。まだ歯に穴は開いておらず、むし歯になりかけている段階なので、痛みなどの症状はありません。
– 治療方法 –
間食の時間を決める、フッ化物を使用するなどの方法で再石灰化を促し、経過観察をします。
C1 エナメル質内のむし歯
歯の表面(エナメル質)のみでとどまっている初期のむし歯です。しっかりした予防で進行を防ぐことが可能です。むし歯の範囲や場所によっては、削って詰め物をする必要性がある場合もありますが、原則としては削らず、重症化しないよう経過を追っていきます。
– 治療方法 –
キシリトールなどでむし歯菌の活動を抑え、進行を防ぎます。深い溝がある場合は最小限の切削をして合成樹脂(レジン)を充填します。
C2 象牙質に達したむし歯
エナメル質の下の象牙質まで進行したむし歯は、神経(歯髄)に近づくにつれて冷たい物がしみ、痛みの自覚症状が現れます。ただし、エナメル質のむし歯が歯の神経に到達するには一般的に8年と言われており、歯髄まで十分に距離があって進行がゆっくりな場合には削らずに管理します。かなり大きくなってしまったものや進行が速いものについては詰め物や被せ物をする必要があります。
– 治療方法 –
合成樹脂(レジン)を充填するか、範囲が大きい場合は削ったあとに歯型を取り、金属やセラミックの詰め物(インレー)を作り、欠損部を修復します。
C3 神経 (歯髄)に達したむし歯
歯の神経(歯髄)まで進行し、炎症(歯髄炎)がおき、激しい痛みを伴うことがあります。
– 治療方法 –
歯髄の炎症が重度の場合は、歯髄組織を除去したあとで、根管内を消毒(俗にいう「歯の神経を抜く」)し、シーリング材を用いて充填します。
また、歯髄が死んでしまった歯はもろくなりますので、クラウンなどの被せ物をします。
症例によっては、特殊な抗生物質を用いて歯髄を保存する処置を行う場合もあります。
C4 歯質が失われたむし歯
末期のむし歯の状態。歯はほぼ歯根だけになってしまいます。歯髄は死んでしまったので痛みは軽減しますが、歯根の先に膿がたまりはじめます。このまま放置すると顎の骨の中に細菌が入り込み大変なことになることもあります。
– 治療方法 –
この状態になると抜歯が必要になります。
抜歯した部分は傷が治った後に、ブリッジ・部分入れ歯・インプラントなどの方法で補うことになります。こうなる前に治療をおすすめします。
むし歯リスクチェック
むし歯になりやすいかどうかは、むし歯を起こす力とむし歯を防ぐ力のどちらが優位かを調べることで分かります。これを「リスク評価」といいます。自分のリスクがどれぐらいかを知ることは、適切な口腔ケアを確立する上でとても重要です。
No. | 項目 | 判定 |
---|---|---|
01. | 甘いものが好き | |
02. | 歯みがきは毎食後はしない | |
03. | 1回の歯みがきにかける時間は3分以内 | |
04. | 治療したむし歯の数が4本以上ある | |
05. | お湯が歯にしみる | |
06. | 水が歯にしみる | |
07. | 食べ物をかむと歯が痛む | |
08. | 歯に食べ物がよく詰まる | |
09. | 親もむし歯が多かった | |
10. | 歯ブラシ以外の清掃用具(歯間ブラシ、デンタルフロス、糸ようじなど)は使ったことがない | |
11. | 歯科医院には痛みが我慢できなくなってから行く |
チェックによる判定
- ▼10個以上
- 痛みなどの自覚症状は出ているはず。すぐに歯科医院に行きましょう。
- ▼7から9個
- むし歯の可能性大!痛みがなくてもむし歯は進行しています。早めに歯科医院で検査しましょう。
- ▼4から6個
- むし歯ができている可能性があります。一度歯科医院でチェックすることをおすすめします。
- ▼1から3個
- むし歯はないかもしれませんが、注意が必要です。歯科医院でご自身に合った予防法を相談しましょう。
- ▼0個
- 今のところむし歯の心配はありません。定期検診を受け、歯の健康を保ちましょう。
※あくまでも目安ですので、定期的な検診は欠かせません。