リスク検査・唾液検査について
お口の中の環境は人によってさまざま。むし歯リスクが高い人、歯周病のリスクが高い人、その原因となるものも一人ひとり違ってきます。
患者さん一人ひとりのお口の環境を科学的に調べ、ベストな予防治療を行うことが正しい「予防治療」と言えます。
当院では唾液検査キット「デントカルト」を使用し、主にむし歯のなりやすさについて調べます。
むし歯や歯周病のリスク判定
歯は治療をすればするほど再治療が必要になります。歯周病は悪化すればするほど改善が難しくなります。むし歯も歯周病も進行してからでは遅いのです。かかりつけの歯医者で定期的に歯科検診を受け、治療をしなくていい健康なお口の中の状態を維持することが、生涯自分の歯でなんでも噛めることができる秘訣です。
静岡デンテルクリニックでは検査したデータに基づき、むし歯や歯周病のリスク判定を行います。リスク判定の結果として、わかりやすくむし歯のリスクと予防効果について説明させていただきます。
むし歯のリスク判定には
- 過去のう食(むし歯)の経験
- 全身状態
- 飲食内容
- 飲食回数
- プラーク量みがき残しの量
- ミュータンス菌
- ラクトバチルス菌の数
- フッ素の使用状態
などがあり、これによってどの程度むし歯や歯周病になりやすいかを、確率で示すことができます。
リスクを減らす方法の説明
むし歯にならないようにするためには、ご自身のリスクを知り、むし歯になる確率を下げることが大切です。改善できる項目については注意して生活することで、リスクを減らすことができます。
改善ポイント
- 口腔内の清掃効果がある野菜中心の食事に変える
- 糖分の多い間食の回数を減らし、口の中の酸性度を下げる
- プラーク量を減らし、細菌の量を減らす
- 歯みがき粉をフッ素入りのものに変える
改善によって、むし歯になる確率が60~70%ある方でも、リスクを30%程度にまで減らすことが、簡単にできるのです。
むし歯のリスクを知る唾液検査
1.唾液の量を測る
唾液には溶けた歯を治す力があります。歯は食事のたびに溶ける脱灰(だっかい)と元に戻す再石灰化(さいせっかいか)が行われています。再石灰化は唾液の中のカルシウムやリン酸によって起こります。唾液の量が少ない方はむし歯ができやすいことがわかります。
2.唾液の力をみる
唾液による再石灰化のスピードは唾液の力によって変わります。再石灰化を起こす力が強ければ脱灰によって溶けた歯を素早く再石灰化させることができ、力が弱いといつまでも再石灰化できなくなり、むし歯ができやすくなります。
3.ミュータンス菌の数を調べる
ミュータンス菌が多い人はむし歯になりやすい人です。ミュータンス菌はむし歯菌を代表する菌で糖を餌にして、歯を溶かす酸を出します。口の中には多くの細菌がいてミュータンス菌の比率や数が多い方は、口の中が酸性になりやすく、むし歯ができやすい人です。
4.乳酸菌の数を調べる
乳酸菌はヨーグルトなどに含まれる菌と同じ仲間で、詰め物や被せ物が多い方にいるむし歯菌です。金属やブラスチックなど劣化しやすい材料の隙間に住んでいて、ミュータンス菌と同じように酸を出します。
5.食事の頻度を確認する
むし歯は脱灰と再石灰化のバランスが崩れることによってできます。食事の頻度が多い方や間食、糖分の入った飲み物をダラダラと飲み続けるなど、歯が脱灰する時間が長い方は、再石灰化する時間が短くなり、歯に穴が開いてきます。
6.プラーク(歯垢)の量を調べる
プラークは細菌の塊です。口の中に飼っている細菌が多ければ多いほど、酸性度が高くなり、歯が溶けます。食後、増えた細菌が酸を出す前にプラークを取り除き、歯の脱灰を防ぎます。
歯周病のリスクを知る歯周病検査
1.歯周病の進行を確認するための歯周ポケットの検査
歯周ポケット検査は歯周ポケットの深さ、歯ぐきからの出血、歯の揺れの有無を調べていきます。
歯周ポケット検査 | 歯と歯ぐきの境目の深さを測っていきます。4mm以上のポケットになるとご自身ではポケット内の細菌を取ることができず、歯周病が進行しやすくなります。 |
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歯周ポケットの出血 | 出血があると歯周病が進行形であることを示します。治療はこの出血を止めることを目標にしていきます。 |
歯の揺れ | 歯の周りの骨が溶けてくると歯が揺れてきます。歯周病の治療によって歯の揺れを止めるようにしていきます。 |
2.歯ぐきの腫れを確認するためのお口の中の写真
お口の中の写真を撮って歯ぐきの腫れの状態を確認していきます。治療後や定期的に写真を撮ることによって、治っている状態や変化を見ていきます。
3.歯槽骨の吸収状態を確認するためのレントゲン撮影
歯を支えている骨の高さは歯ぐきがあるので見た目では確認できないため、レントゲンを撮って骨の高さを見ていきます。歯周病は症状が出にくい病気のためレントゲンを撮って初めて骨が溶けていることに気付くこともあります。
口の外側から撮る大きなレントゲン写真では細かい部分が診断しにくいので、小さなレントゲン写真を場所ごとに撮り、全部で10枚~14枚撮影します。
4.歯周病の状態の説明
歯周病検査によって歯周病治療を行います。その後の状態によって歯科検診の間隔を決めていきます。